「泣け!喚け!叫べ!」…いま、巷で密かなブーム〝女優ごっこ〟

涙活が話題ですが、私が最近耳にしたのが、あらゆる泣きの状態を表現するという、「女優ごっこ」。涙活の進化形と言いましょうか。なかなかユニークな試みなので、ご紹介したいと思います。

みなさん、〝泣く〟と一口に言いましても、いろんな泣き方があるのはご存じですよね?たとえば…。

嗚咽(=おえつ。むせび泣くこと)、号泣(=ごうきゅう。大声を泣き叫ぶこと)
、慟哭(=どうこく。嘆きのために声を上げて泣くこと)の他にも、通常まず耳にしないような難しいコトバで、
哀哭(=あいこく。哀しみのために声を上げて泣くこと)、嗁呼(=ていこ。泣き叫ぶこと)、
啼血(=ていけつ。血を吐くほど泣くこと)、涕泣(=ていきゅう。涙を流す)、
欷歔(=ききょ。啜り泣くこと)、感泣(=かんきゅう。感動して泣いてしまうこと)、鬼哭(=きこく。死者の魂が泣くこと)…なんて表現もあります。

日本語って実に多彩。演劇のワークショップなどで行われる定番レッスンで、何人かで列をつくり、端から少しずつ泣きを増大させていき、最後に泣きのマックス状態をつくりだす、というものがありますが、もし、日本語のコトバの数だけ、〝泣き〟を表現してみたら、それは単なる〝泣き〟のテンションの高低だけでは表せないということになりますよね。だって、鬼哭(=きこく。死者の魂が泣くこと)なんて…。いったいどうやって泣くのよ、って感じ。

それを実際やってみよう!と言うのが、いま、密かなブーム(?)を呼んでいる、という〝女優ごっこ〟。演出家に言われる通り、「泣け!喚け!叫べ!」を演じるなら、まあ、素人にもできそう?しかし、実際に国語辞典を広げて、上記のようなコトバ、それ以上の泣きの状態を表現していったら…。

辞書で泣きに関するコトバを目で追っていくだけで…。すでにもう、泣けてきそう…。